(:3)刀乙のお題は「貰ってきた魔女」です!
できれば作中に『騎士』を使い、無邪気な少女『グウェン』を登場させましょう。
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https://shindanmaker.com/331820
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「あーっ、ねこちゃん!」
窓の外から聞こえてきた少女の歓声に依頼人はビクリと身を震わせ、女に疑いの目を向ける。
「ご心配なく。追い払ったうちの一匹に懐かれましてね、ちゃんと村の外に持っていきますよ」
そう、それなら良いのです。ふう‥‥と安堵を洩らす男から報酬を受け取り、宿を出た。
正午を過ぎた村を見渡せば、早春の風が種をまかれた畑の上を吹き抜けていく。
猫を見送る女の子に軽く手を振り、次の行く先はと掲示板を眺める背中に男の声が掛かった。
「やあ魔女さん、お手柄でした!」
馴れ馴れしく語るのは、以前に騎士の昇格試験をちょっとだけ手伝った若者だ。
猪や狼が相手なら勇敢に戦う気概と技量は兼ね備えているのだが、どうにも子鬼が苦手らしく。
本人が畜舎に隠れている間に魔女は彼に*変装*して村を出て、滞りなく小鬼の首を貰って凱旋。
彼はめでたく騎士となり、彼女は報酬を受け取って双方得。そんな関係だった。
「私も村のために一肌脱ぎたかったんですが、屋内で剣を振り回すわけにもいかず」
あれこれと口が回る様子にやんわりと微笑みを返し、適当な所で別れを告げた。
ヨウィンの村を出て西へ。向かう先がだんだんと雨雲に覆われていく。
これは野営地を探すべきだろう。近いのは、かつて乗り込んだ子鬼の洞窟。雨宿りには十分だ。
外の雨を眺めながら、魔女は背にしてきた村の騎士を思い出す。
彼は決して役立たずではないのだが、実力と期待のズレをこの先どうするつもりなのだろう。
あの時は、子鬼くらいならそのうち倒せるようになるだろうと、安請け合いもしたが。
‥‥ふと、洞穴の奥から視線を感じた。
傍らで石のように固まる猫の尻尾が総毛立つ。
耳をすませば、蝙蝠にも似たかすれ声が微かに聞こえる。別の子鬼の群れが住み着いたのか。
さてどうしたものか。野営の邪魔はされたくないが、討伐の依頼を受けてもいない。
「‥‥ふうん」
一言二言つぶやき印を結ぶと、岩壁がせり出し洞窟の外と内を隔てた。
急ごしらえの仕切りだから、二、三日もあれば彼らでも掘り抜けるだろう。
「あとは、村の騎士様に任せればいいさ」
何てことはない、溜まったツケを払う時が来ただけの話。
雨が止んだのを見届け、魔女と相棒は西へ消えた。
-了-
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